訪問看護ステーションにとって、年末年始は1年の中でもっとも特別な期間です。医療機関・薬局・ケアマネジャーなど多くの関係機関が休業となり、地域の医療資源が大きく縮小します。
その一方で、利用者さまは年末年始を普段どおりの在宅環境で過ごします。家族の帰省や生活リズムの変化が重なり、急な体調変動や対応困難な状況が増える時期でもあります。サクラボ訪問看護ステーションでは「できる限り利用者さまの安心を途切れさせないこと」という考えのもと、毎年の運用を慎重に設計しています。
本記事では、2025年の年末年始運用を振り返りながら、現場で働くスタッフが見せてくれた主体性やチームワーク、そして管理者視点で押さえるべき実務のポイントをまとめました。ぜひ、ご覧ください。
サクラボの年末年始運用について
サクラボ訪問看護ステーションでは、年末年始の運用を「できる限り利用者さまの安心を途切れさせないこと」を最優先に考えています。訪問看護は在宅医療の最後の砦であり、年末年始も急変が起きる可能性はゼロではありません。そのため、事業所としては“休業”という扱いであっても、完全な停止は現実的には不可能です。
そんな中で、改めて強く感じたのは スタッフ一人ひとりが自ら動き、利用者さまの生活を支えるために主体的に準備してくれているということです。11月の早い段階から、スタッフ間で「誰が動けるか」「どの利用者さまに事前説明が必要か」といった情報共有が自然に始まり、管理側に伝える前から調整が進んでいました。
利用者さまへのスケジュール確認も早期に実施され「訪問希望者のみ訪問」という方針を丁寧に説明してくれたおかげで、ご家族の不安軽減にもつながりました。
休業期間にも関わらず、交代で訪問に入ることを快諾し、地域の生活を支えてくれるスタッフの姿勢には、管理者として心から感謝しています。訪問看護は“人が人を支える仕事”です。サクラボが大切にしている「安心の循環」が、スタッフの姿勢そのものに現れていると強く感じた出来事でした。
年末年始のスケジュール決めで必須の3ポイント
年末年始の運用は、通常月とは異なる“医療体制の縮小”という特性を持ちます。そのため、計画段階でどれだけ精密に準備できるかが、トラブル予防の鍵になります。ここでは、サクラボで毎年必ず実施している「3つの必須ポイント」を紹介します。
スタッフの休み希望・稼働可能日の早期回収
年末年始のスケジュール調整で最重要となるのが「スタッフの休み希望を“早期に回収すること”」です。
理由は3つあります。
- 帰省や家庭事情が重なりやすいため、希望が重複しやすい
- 通常より訪問が増える利用者さまがいるため、戦略的な配置が必要
- 代替スタッフの確保や教育計画に影響する
サクラボでは11月中には「休み希望」「出勤可能日」「オンコール対応の可否」を全スタッフから提出してもらい、12月には最終調整に入ります。この早さが、その後の利用者調整をスムーズにし、結果的に“無理のない体制”につなげることが可能となるのです。
利用者さまのケアの前倒しを検討する
年末年始は「訪問希望者のみ対応」という方針を事前に伝えることで、利用者さまの不安を軽減できます。また、前倒し可能なケアはできる限り年内に調整し、必要な処置が滞らないよう計画します。
とくに前倒しが難しいのは以下の利用者です。
- カテーテル・バルーン交換
- 点滴の連日管理
- 在宅酸素のフォロー
- ストマ管理
- 疼痛コントロールの強い方
これらの利用者さまを早期にリストアップし、年末年始に必要な処置の量・タイミングを細かく確認することで、急なトラブルの可能性を減らすことができます。
医療機関・薬局・ケアマネジャーへの早期情報共有
関係機関が休業に入る前に、訪問看護側から先手を打つことが非常に重要です。
サクラボでは下記の項目を意識して、情報共有を行う予定です。
- 年末年始の休業日
- 訪問希望者のみ対応する旨
- 緊急時の連絡体制
- 処方切れ防止のお願い
- 医療処置が必要な方の注意点
とくに“処方切れ”は毎年起こりやすいトラブルであり、薬局が混む前に確認することが利用者さまの安全へ直結します。
ケアマネジャーや医師への事前連絡は、結果として関係性強化にもつながり、安心して利用者さまを預けていただける要因にもなっています。
年末年始にトラブルになりやすいポイント
年末年始は、環境が大きく変化するため“通常では起きにくいトラブル”が発生しやすくなります。ここではサクラボが実際に注意していくポイントを紹介します。
家族の帰省・外泊によるケア体制の変動
家族が長期で不在になると、普段家族が担っていたケア(内服管理・点滴準備・食事作り)が一時的にできなくなるケースがあります。事前に“普段どこまで家族が関わっているのか”を確認することで、訪問の必要度を正確に判断できます。
医療機関・薬局の休業による処方切れ
年末年始でもっともトラブルガ起きやすいと聞かれているものがこれです。とくに注意すべき薬は以下です。
- 痛み止め(オピオイドなど)
- 抗てんかん薬
- 抗生剤の継続処方
- 脱水予防の点滴リスト
処方切れは在宅崩壊のリスクが高く、早めの予防が必須です。
生活リズムの変化による急変(脱水・便秘・食事量の変動)
年末年始は、食事量の増減や水分不足により、脱水・便秘・意識変容などが起きやすくなります。とくに独居高齢者は影響を受けやすい傾向があります。
事前にできるだけのリスク管理やADL指導を行うことが大切です。
夜間連絡の増加と初動判断の重要性
医療機関の連絡がつきにくいため、訪問看護側での初動判断が重要になります。「どの段階で訪問するか」「様子観察でよいか」などをチームで統一しておく必要があります。
まとめ
年末年始の運用は、管理者がどれだけ準備しても、スタッフの協力がなければ成り立ちません。サクラボでは、毎年スタッフが主体的に動き、利用者さまと誠実に向き合い、地域の安心を支えてくれています。
休業期間であっても、訪問看護がとまることはありません。地域の生活を守るために現場に立つスタッフの姿勢が、サクラボの信頼を築いています。
今年の年末年始でも、スタッフが早い段階から計画を立て、交代制で訪問を調整し、利用者さまの安心につながる体制をつくってくれました。管理者として、このチームに心から感謝するとともに、来年も同じように“地域の安心を守る体制”をより良い形で築いていきたいと思います。
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