「食べることを諦めたくない」「最後まで自分の声で話したい」
前回の記事では、在宅領域で活躍する言語聴覚士宮原さんが、実際の訪問現場で行っている嚥下訓練や家族支援、多職種連携の工夫について解説してくださりました。病院とは異なる在宅環境だからこそ必要となる視点や「安全性」と「その人らしさ」の両立について、実例を交えながら紹介されています。

今回は「在宅だからこそ必要な評価と環境調整」と「家族支援に必要な安心な環境づくり」についての内容になります。ぜひ最後までご覧ください。
在宅で必要な「評価」と「環境調整」
評価について
宮原 未央小さな変化を見逃さないことが重要になります!
病院と在宅で大きく異なる点として「生活環境」が挙げられます。
在宅では、実際に食事をする椅子やテーブルの高さ、食器、介助者の技術など、日常環境そのものが嚥下機能に影響します。そのためSTは、自宅や施設の環境下で実際の食事場面を確認しながら評価を行います。
- 反復唾液嚥下テスト
- 改訂水飲みテスト
- フードテスト
- 食事姿勢
- 一口量
- 食事スピード
- 栄養状態
- 口腔内環境
さらに、MASA(日本語版嚥下障害アセスメント)を用いて、嚥下障害の重症度や誤嚥リスクを可視化し、多職種間で共有しているそうです。グラフ化することで、看護師や家族にも状態が伝わりやすくなるため、在宅支援では非常に有効な方法とお話してくださりました。
環境調整について



訓練だけではなく、環境を整えることもSTの役割です!
在宅STの強みとして「実際の生活場面を見られること」を挙げられます。病院では、ベッド上や訓練室での評価が中心になります。しかし在宅では、下記を意識することが重要になってきます。
- 普段どこで食べているか
- どんな姿勢で食べているか
- 家族がどのように介助しているか
など、“日常そのもの”を確認することが必要です。
例えば、食事用テーブルの高さが合っていなかったり、クッション位置が不適切だったりするだけでも、誤嚥リスクは大きく変化します。
また、在宅では利用者本人がリラックスしていることも多く、本来の食事状況を確認しやすい点も在宅リハならではの面白みです。
安心して続けられる環境づくり
家族支援で本当に大切なこと



「これなら大丈夫」を共有することが安心につながります!
在宅リハビリでは、家族支援も重要なテーマになります。
とくに嚥下訓練は、家族が食事介助を担うケースが多いため「これで合っているのか」「誤嚥しないか」と不安を抱えやすい分野です。家族支援の本質として「安心して実行できる条件を明確にすること」が大切になってきます。
具体的には、以下の3点を明確に伝えることが重要とされています。
- むせ
- 呼吸状態の変化
- 姿勢の崩れ
- 痰の増加
- 食事姿勢
- 一口量
- 食事ペース
- 食事形態
- むせが続く
- SpO2低下
- 息苦しさ
- 発熱
このように「どこまでなら安全か」を具体的に共有することで、家族の不安軽減につながります。
また「絶対に禁止する」のではなく、「この条件なら可能」といった“条件付きOK”を提案する姿勢も大切です。利用者や家族の希望を尊重しながら、現実的な落としどころを探すことが、在宅STには求められています。
まとめ
今回の勉強会では、訪問STが「食べる」「話す」といった生活に直結する支援を通して、利用者のその人らしい生活を支えていることを学びました。とくに在宅では、機能訓練だけではなく、生活環境や家族背景、多職種連携まで含めて関わる視点が求められます。
また「安全性」と「楽しみ」の両立を考えながら支援を行う姿勢も、在宅STならではの重要な役割でした。利用者本人の希望だけではなく、ご家族の不安や介助負担にも目を向けながら、チーム全体で支援していくことの大切さも印象的でした。
病院と異なり、在宅では一人ひとりの生活環境や価値観が大きく異なります。そのため、正解を押し付けるのではなく「どうすればその人らしく生活できるか」を一緒に考える姿勢が重要になります。今後さらに在宅医療の需要が高まる中で、言語聴覚士の専門性はより必要とされていくかもしれません。
宮原さん、改めてこの度はありがとうございました!
講師紹介


宮原 未央 [ 言語聴覚士 ]
宮崎県内で活動中の言語聴覚士。回復期病院や急性期病院の経験を活かして、現在は在宅リハや講師、施設コンサルとして活躍中。施設、在宅でも「食べること」「話すこと」を諦めないようにサポートしています。



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訪問看護は、地域や事業所ごとに課題や悩みが異なるからこそ「一人で抱え込まない環境」が重要になると感じています。これからもサクラボ訪問看護では、現場のリアルな声を届けながら、訪問看護業界全体の発展につながる活動を続けてまいります。


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